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2018年9月11日 (火)

第三章 言葉を大切に  俗語の迫力

 藤原定家の大切な歌論書に『毎月抄』があります。その中の有名な一節。
◎申さば、すべて詞に、あしきもなくよろしきも有るべからず。たゞつづけがらにて、歌詞の勝劣侍るべし。・・・藤原定家『毎月抄』
 言葉と言うものはそれ自体、いい言葉も悪い言葉もあるものではない。ただ、言葉と言葉が、歌のなかでどんなふうに続けられているか、その「つづけがら」が大切なのだ、と言っています。どんな言葉でも恐れずに使えばいいのだ、と読み替えることができ、積極的に言葉を増やせという激励ともとれそうです。ところが、その定家が、同じ書の中で次のようにも言っているのです。
◎すべてよむまじきすがた言葉侍るなり。よむまじき姿詞といふは、あまりに俗にちかく、又おそろしげなるたぐひを申し侍るべし。・・・同
 これはどうしたことでしょう。どんな詞でもどんどん使いなさいと言っていたかに見える定家でも、俗な詞は使うなと言っている。古来、歌にはいわゆる歌言葉、雅語が好んで用いられてきましたし、近代以後、現代においても俗な言葉が歌に持ち込まれるのは嫌われます。歌会などでも「それは俗語だから」という批判がよく聞かれます。
 歌に俗語が入り込むことは基本的には避けるべきことです。いったん俗語の塵を払い落して、その上で自分の心情をもっとも端的に表現できる言葉を探そうとする、そこに定型詩を選ぶ意味と醍醐味があるからです。
 しかし、ということをここではお話ししたい。俗語は避けるべきであるが、避けるべきものだからこそ、うまく取り入れられれば、誰もが歌言葉として使っている言葉だけでは迫力がもたらされる場合がある。
       - 以上、永田和宏著 『作歌のヒント』 -
 
 以下は、いつものように「歌の日曜散歩」の採用作品を予定していましたが、今日の地元紙の短歌欄に初投稿、初採用をすること出来たので、こちらをお知らせしたいと思います。私らしい俗語の羅列のようで恐縮ですがご覧ください。

  損失と税収ともに二兆円「ベランダ蛍」ら煙に巻かれる     大瀧保さん選
 
 実は元歌は少し違います。選者の先生が手直しして下さったようです。俗人の愛煙家が俗語を並べただけでとても綺麗な歌とは言えません。 お目汚しご容赦ください。

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コメント

ヤマちゃん、こんにちは。

おめでとうございます!初投稿で初採用とは、すごいですね~!(^。^)いい歌ですね。

永田和宏氏の作歌のヒントも勉強になりました。ありがとうございました。

ラジビタはなさん、こんにちわ
地方紙とはいえ新聞の歌壇は敷居が高くて敬遠していました。
しかし、新聞記事に「煙草に因る被害が2兆円を超える」との記事を目にして、ふっと、思い浮かびました。
いつもコメント頂き、また、ツイッターでは、いいね、を頂きありがとうございます。

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