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2018年6月12日 (火)

一字の重さ - 助詞・助動詞

 しかも、「小さき活字を」とやると第五句は第四句に吸収されてしまいます。その結果、一首の力が急に弱くなってしまう。ただ読んだだけということだけしか残像として残らず、「何を」という大切なものが意識の表層から隠れてしまいます。「小さき活字」と「を」省くと、結句が倒置法として独立して、「小さき活字」のイメージが立ち上がり、印象が強くなるのです。
 これは「を」を省いたほうがいい例でしたが、次の一首はどうでしょうか。
   黒潮の流るる海の彼方より海を持ち上げてのぼる太陽      黄 得龍

助詞の「て」や「を」。これら助詞一字を入れるか、省略するかという判断は、文法的に正しいかどうかということだけでは決められない。

 「京都新聞」の歌壇で私が選をしている中の一首。「海を持ち上げてのぼる太陽」の「を」はどうでしょうか。「海持ち上げてのぼる太陽」とした方が破調にならず読みやすい。しかし、私は、あへて「を」を入れて破調にしたことによって、のぼる太陽の力強さがぐんと出たと思い、そのように寸評に書きました。

     - 以上、『作歌のヒント』 永田和宏著 -

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